怪文書：春は背油

ある時の何気ない会話で、春夏秋冬を麺類で表すと何になるという話題で盛り上がったことがある。山菜そばや卵うどんなど色々な麺類が挙がったが、私は「春」は背脂醤油ラーメンだと思う。

背脂ラーメンといってもラーメンの世界は幅広く何種類かあり、今回話したいのはスープ本体は澄んだ醤油味で背脂がかけてあるタイプのラーメンである。

一見こってりの権化のように思えるが、スープ自体はさっぱりとしている。塩味の強い澄んだ醤油味のスープととろける程に煮込まれた背脂が合わさったとき、脂は甘味へと変わる。上に乗るトッピングもメンマ、チャーシュー、海苔、時たま茹でもやしがトッピングとして選ばれる。盛りだくさんの具材による見た目の華やかさや、脂の存在感は、春の華やかさともったりとしたあたたかさとガッツが無ければ過ごせないような気候を表しているといえよう。まさに春。背脂醤油ラーメンを春の季語にしよう。