朝見鶏商會私書箱

朝見鶏商會私書箱に届いた怪文書置き場です。

怪文書:ファミマの冷凍ビーフガーリックピラフ

また憑いた。

あいつだよ、いつものゴーストだ。


定期的にステーキが焼き肉がとにかく味の濃い牛肉が食べたい欲求に苛まれる。今日もそうだった。生憎外は雨。彷徨える空腹人をするには辛い天候だった。

そういう時は過去の自分がリスの如く埋めていた食糧の発掘結果を祈るしか無いが、今回はそれが吉と出た。冷凍庫に以前ファミマでジャケ買いした冷凍ピラフ「ビーフガーリックピラフ」があったのだ。

十中八九食欲がバグっている日と冷凍食品の割引デーが被り、欲望のまま買ったが温める前に理性が戻りこっそり冷凍庫へ安置したのだろう。そしてきっとその時も牛肉食べたいゴーストに取り憑かれていたのだ。

しかし冷凍ビーフガーリックピラフとは。冷凍食品のパラパラごはん系は中華炒飯の独壇場かつ、冷凍ピラフと言えば大御所エビピラフがいる中の「ビーフガーリックピラフ」。ピラフを思い浮かべてビーフとガーリック重ねて来る人そんなにいないんじゃないかな。多分きっとビーフとガーリックが先。冷凍パラパラご飯系勢力図のぽっかり空いた穴へシュートする為のキラーメンバー。ファミマのその攻めた姿勢、大好きだよ。聞こえてるよ。自分は今までファミマルシリーズで牛肉系列出しては消えてきた歴史、ちゃんと忘れてないからね。

それはそうと、ファミマの冷凍炒飯、ピラフは袋のままレンジで温められるの本当ありがたい。量も食べきりサイズ。つまり限界オフィスワーカーが給湯室のレンジで温めてランチにできるってワケ。

オフィスの冷凍庫に冷凍ピラフを安置するなって?

それは、そう。

熱々の袋の端を摘みデスクへ。

溢れ出す「ガツン系メシ」の香り。ビーフもガーリックもあるがペッパーも強い。一口食べると、まさに「ステーキランチでライスをステーキソースに絡めた時」の味がした。え??!?美味いじゃん!?!正直期待してなかったんだけどだいぶビーフじゃん?!?ご飯全体が胡椒とニンニク感あるステーキソース味だけれどビーフの気配あるし、具材のビーフビーフだ!!!!!背後でしゅわしゅわとゴーストが煙になっていくのを感じる。美味いな。予想外に赤パプリカの風味が良い。冷凍パラパラごはん系食品はお米の硬さが絶妙で食感が楽しい。美味い。いや美味いよコレ。


え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜また買おう。

消えたと思ったビーフゴーストがビーフガーリックピラフゴーストになった気がするけど、そんな事より美味い飯に出会った事に特茶で乾杯。

怪文書:ブロッコリーの唐揚げ

ブロッコリーの唐揚げ

が美味いんだ………。

 聞いてくれよブラザー。俺、ブロッコリーの事良く知ってるつもりだったんだ。最近ダイエットだ、プロテインだ、マッチョマンに憧れるヒューマンがお熱のあの野菜だよ。ブロッコリー、美味いよな。何しても美味いが、その中でも硬めに茹でてマヨネーズか、オリーブオイルで蒸し焼きか、丸ごと刻んでスープに入れるか、3択だと思って生きてきたんだ。それが、それがだよ。ちょっと小耳に挟んだ《唐揚げ》ってヤツでブロッコリーを料理してみたら……ヤバいんだ。

 さっきの3択、どれもブロッコリーであってブロッコリー以上ではい。副菜として彩りとして口休めとしてのブロッコリー。バイプレイヤーブロッコリーだ。だが、ブロッコリーの唐揚げは違う。ヤツは場を支配する。もう肉も魚も目じゃ無い存在感。なぜ世の中にはブロッコリー唐揚げ定食がないのか。コンビニホットスナックにブロッコリー唐揚げが無いのか、慟哭するくらいにヤツは主役だ。食べたら最後、目が舌が離せなくなる……。

揚げ物が面倒なのは百も承知だが、後生だから今夜のおかずはブロッコリーの唐揚げにしてくれないか……。

怪文書:おにぎり

時たま休日に我が家ではおにぎりを山盛り作る。

手で握ったおにぎりが食べられるか、衛生価値観の問題で時々話題に上がるけれど、美味しさの話で言えばおにぎりは素手で握った方が断然美味しい。

なんでかは私はわからない。ラップや手袋に比べて、なんとなく塩の手残りがいいからじゃないかなと思っている。

具材を用意する時のワクワクは何ものにも変えがたい。祖母の代から梅おかかは欠かせない。最近好きなのは沢庵七味マヨ。筋子があればごちそうだ。

茶碗に一旦よそうと具材が包みやすい。一呼吸もおける。手をパンと叩いてから水をつけて掌に塩を振る。茶碗からスライドした熱々のごはんを握る。繰り返して、隣の皿に白い山が出来る。

なんで塩をかけて握っただけなのに、おにぎりと茶碗に盛られた白米で味が違うのだろう。その秘密を探るべく、今日も炊飯器の蓋を開ける。

怪文書:シュークリーム

好きなシュークリームが売ってる店がある。

そこはシュークリーム屋ではない。パウンドケーキ屋だ。ただ、ほぼほぼ私はそこにシュークリームを買いに行く。

シュークリームといえば、雲のようにふわふわな生地に噛み付けば溢れる蕩けるようなクリーム……う〜んロマンがありますね。

でもその店のシュークリームは真逆だ。

薄手のクッキーのようなカリカリしたシュー皮に、バニラビーンズたっぷりのプリンかと思うほど固めのカスタードクリーム。

好きな食べ方はシューの蓋をそっと外し、クリームを掬って最初の一口を食べること。クリームが硬くて蓋が負けたりするのはご愛嬌。濃厚ながらも後味はあっさりとしたカスタードクリームには濃いめのコーヒーにも、熱い紅茶にも合う。最高。

もちろんパウンドケーキ屋な事からパウンドケーキも美味しいのだが、シュークリームは僅かな店舗でしか食べられないレアモノだ。

世界一美味しいシュークリームが買えるパウンドケーキ屋。絶対に無くならないでくれ。

怪文書:じゃがりこ

「いつも笑顔と共に」なんて使い古されたキャッチフレーズだが、菓子業界はこれを大真面目に掲げて日夜お菓子を作っている。何故なら菓子は嗜好品筆頭、気分を良くする為に存在するものだからだ。笑顔が発生するシチュエーションを想像すれば、菓子の余地、つまり商機がある。そんな感じでみんなが知ってて何処でも買える菓子には味・製法・包装・輸送・宣伝まで知恵が詰まってる。すごいね。だから菓子の話は何をとっても面白いんだが、あえてここでは私の個人的な思い出を語ろう。

最近の話だ。

ドラッグストアに行った。レジで会員登録は如何ですかと勧誘に会った。断ろうと口を😮まで開けたところで「今ならじゃがりこ差し上げます」と言われた。結果、スマホにアプリがひとつ増え、手にはじゃがりこがあった。個人情報と引き換えに手に入れた緑のカップ。今でもなんで?と思うが、まぁこのおかげで私は数年ぶりにじゃがりこと再会したわけだ。

すぐに食べたわけではない。じゃがりこはしばらく枕元の文庫本と一緒に積まれていた。何故って……ものぐさだからだよ……。

しばらくして、2回目の某ワクチンを打ったとき事、自分も漏れずしてそこそこの熱が出、そこそこに寝込んだ。体温計と睨めっこし、老舗和菓子屋が粉を入れるタイミングを測るかの様に解熱剤を飲み横になる。数時間後、もうぼちぼち熱も落ち着くだろうというあたり、体力、というか気力が削がれて気持ちはへなへな、お腹もぺこぺこ……自分はさもしわしわのピカチュウを横にしたような様だった。ギブミー元気……という心地の中目に入ったのは緑のカップ。無意識のうちに蓋を開け、おもむろに一本食べた。

じゃがりこの恐ろしい所は食感の良さである。さもハムスターがひまわりの種を齧るかの如くリズミカルな歯応え。うん年前のCMソングが無意識に頭を流れる。ジャガリコジャガリコジャガリコジャガリコ、じゃが、りこ、じゃが、りこ。ジャガリコジャガリコ(略)

程よい塩気、噛み締めると感じるじゃがいもの甘さ、塩気、じゃがいも、塩気……(略)

さぁもう一本と伸ばす手が空振る。いやぁマジで秒で無くなるってあるんですね〜。

おかげですっかり気も逸れエネルギーもゲット、寝床から起き上がることが出来ました。じゃがりこのおかげです。

まぁ、その後もじゃがりこのおいしさに取り憑かれてしばらく毎日食べてたんですが…。

怪文書:ほっともっとのステーキ弁当

人間は日々「無性に○○が食べたい」衝動と闘っている。ラーメン、チョコレート、寿司、スイーツetc……今日したいのはその中のひとつ「ステーキが食べたい」衝動に直面した時の話だ。

勤務中、唐突にステーキが食べたい。牛肉が食べたい欲がムクムクムクムク立ち上がり居ても立っても居られない時、どうするだろうか。大抵の人は欲が収まるのを待つと思う。何故なら外食でも中食でもほどほどの値段で牛肉が食べれるものは少ないからだ。コンビニ飯に牛肉メニューはどれほどあるだろうか。外食チェーン店で牛肉を取り扱ってる店舗はいくらあるだろうか。ファミリーレストラン系列に入ればステーキ定食はあるだろう。だが大抵1200円かそれを越す。では家に帰ってスーパーで買った牛細切れを焼いて食べるか?それまで待てるか?お前が食べたいのはステーキじゃないのか???

そういう時におすすめなのが、持ち帰り弁当チェーンほっともっとのカットステーキ重!食べやすいサイズに切られた牛ステーキ肉をジャッって焼いてガッってご飯の上に乗せたブツだ!ブラックペッパーが効いた肉の上にかけるのは、な、なんと!別添えステーキソーーース!!ステーキ食べてる時あるある、肉を食べてるのかソースを食べてるのかわからない現象が!眼前に!!噛みごたえのあるど真ん中牛にあなたの中のステーキ欲の霊がシュワーと浮かんでいくのが見えるようだ……。これでなんとお値段590円(税別)!!!!ラーメンより安い!!!!

ステーキゴーストバスターズするのに1000円以下で出来るなら選ばない手はないだろう。これでも浮かばれないヤツに憑かれてしまったら、大人しくステーキハウスで250gステーキ頼んで供養する事だな。

怪文書:松露の卵焼き

松露の卵焼きには思い出がある。

何かの節に東京駅の駅ナカを彷徨う羽目になった。ご存知の方はご存知かと思うがJR東京駅は魔境である。都内だと池袋や新宿が目立って口に上ることが少ないが東京駅は迷う。当時の私も迷宮から抜け出せない哀れな羊に成り下がっており、どうにか用事は済ませたものの歩き過ぎて疲労困憊、出口を求めて右往左往していた。その時目の前に現れたのが駅ナカ食品街だった。

もういろんな美味しそうな食べ物がキラキラと輝いており、やべえ世界だぜとはなっていたが、当時の自分はそこそこに金が無く1000円2000円の惣菜や弁当は怖くて手が出せなかった。そこに現れたのが卵焼き専門店「松露」。卵焼き専門店なんて初めて見た私はテンションがブチ上がり、なんとか手が届く値段だった事もあって衝動買いをする。

梅入り卵焼き「紀州」。それがここで運命の出会いをした卵焼きだ。皆さんは卵焼きの中に梅干しを入れるという発想があるだろうか。私にはなかった。そもそも私は甘い卵焼きが得意では無い(なんで買った?)(衝動なんだって)だが、この紀州は、私の卵焼きの固定観念を壊してくれた。しっかりとした食感、甘さの卵焼きに、添えられるように包まれた柔らかな梅干し。卵の甘さの後味をサッと雪いでくれるかのような酸っぱさ。こ、こんな、こんな組み合わせが……!衝撃だった。

その後、自分でも梅入りの卵焼きを作ろうとしても同じおいしさには決してならなかった。松露の紀州の味は松露の紀州だけ。

迷宮のような東京駅で卵焼き屋に出会ったら、それは幸いである。

あの卵焼き「紀州 」に出会えるかもしれないのだから……。